心に土足で入って喧嘩しない事の難しさ
ヒロは思った事を相手に伝えないと気が済まない性格です。
ザッチは裏表が無くて良いと言ってくれますが、そのせいで喧嘩が絶えません。
喧嘩にならないように冷静に伝えているつもりでも、元々の伝える内容が感情的な事なので自然と感情的になってきてしまいます。
先に言っておきますが『我慢する』という選択肢はありません。
なぜなら、それでは何の解決にもならないからです。
思った事はきちんと相手に伝えて、2人で考えて話し合ってお互いにとって良い解決策を出す事が最も幸せな事だと思っています。
しかし、ヒロは前提の段階で間違っていたのでしょう。
『例え喧嘩しても』話し合うべきだと思っていました。
お互いにとって良い解決策さえ出せれば、その話し合いは有意義な物なのだから、喧嘩したって良い、くらいに思っていました。
しかも、ヒロは思った事をそのまま伝えているだけで、喧嘩になるとは全く思っていませんでした。その為、喧嘩の原因はいつだってザッチにあると思っていました。
しかし、気遣いは当然必要です。
そして、喧嘩しない方が建設的な話し合いができるものです。
ヒロは子供の頃から約20年間親元で生活していて、そこで学んだ気遣いについては自然と使えている事に気付きます。
もちろん、常識的な人から見たらまだまだ足りていないかもしれませんが、ヒロ的には最大限の気遣いがこれです。
例として、ご飯を作ってくれたザッチに対しての会話を考えてみます。
ザ「煮物の味どう?」
ヒ「うん、美味しいよ。でも、もう少し薄味がいいかな。」
これでお湯を足したりして味を調節してくれます。
ここでは味について聞かれているので、気遣いができないヒロだったら、改善して欲しい事を先に言う習性がある為、
「味が濃いよ。薄くして欲しいな。」
と言っているところです。
でも、味が濃いと感じているだけで、美味しいと思っている事も事実です。
そこで、美味しいと思っている事を先に伝えるというテクニックを自然と使っているのです。
食事の会話は20年以上親元で行っていたので、かろうじて身に付いたのでしょう。
普段のヒロにはできない芸当です。
なぜなら、『美味しいよ』と伝える事は無意味だと感じるからです。
改善の必要が無い時に言う言葉が『美味しい』だと認識しています。
相手に何かを伝える時は、無駄な情報を入れずに的確に結論を分かりやすく伝える事が重要だと思っています。
その結果、『気遣い』という情報をそぎ落としストレートに要求をぶつけてしまいます。
それが喧嘩の元なのだと思います。
実際、喧嘩になる会話でどのような言葉が足りないのか全く分かりませんが、ザッチと20年ほど生活すればそれぞれの場面での『気遣い』が身に付くかもしれません。
しかし、それではあまりにも遅いので、言葉を発する前には無駄な情報を入れる癖を付けてみようと思いました。
上記のように、ヒロさんは『如何にシンプルに伝えるか』を重要な点だと考えているようです。
しかしその『シンプルさ』は、私たちの場合、様々な問題をはらむ原因となります。
- 気遣いのクッション言葉が無い場合
- 結論に至った背景についての言及がなく誤解を招く場合
- 主語や目的語が曖昧で複数の可能性が考えられる場合
…など。
それらを聞いただけで感情的になることは、私の場合、そう多くはないと思っています。
ただ、ヒロさんの言う意味が純粋にきちんと把握できないので、
「それってどういう意味?」
「なんでそんなこと言うの?」
と、何の含みもなく聞き返してしまいます。
正直かつ論理的であることが正義であるヒロさんと話すにあたり、私の方もシンプルに聞いてしまう癖がついてしまいました。
しかし、ヒロさんにとってそれらの言葉は、自分に対する非難と取れるようで、私の予想外のタイミングで癇癪をおこしてしまう場合があります。
例え、上のような質問をしなくても、ヒロさんの意図を正確に汲み取れないだけで、「なんで分からないんだ」と不機嫌になったり、私を馬鹿にしてマウントしたり、暴れて物に当たったりします。
食事の会話の例のように気遣いできる人だという認識でいると、予想外の所で足をすくわれるのです。
つまり私の方も、喧嘩をふっかけているのは、いつだって相手(ヒロさん)の方だと思っていました。
(私はヒロさんに反論はしますが、怒ることはほぼ無いと思っています)
そんな喧嘩っ早いヒロさんですが、家では私のOCD、職場では仕事のストレスにまみれて、休む間もなく気を張ってくれています。少々癇癪をおこしたって仕方ないと思えるほど、ずっと我慢してくれています。
私は、ヒロさんとの問題解決にあたり、それはそれ、これはこれ、と勝手に自分の都合のよいように判断して、トラブルごとにドライに分けて考えていました。
しかし、ヒロさんは私の予想以上に、日頃の問題を幅広くウェットに考えて、対応してくれていたのです。
これでは、どちらがASDなのか分からない話ですが、こういう錯誤があって初めて、適度な距離感や正確な内容を掴む事ができるのだと思っています。
これからも、ズカズカ遠慮なく入っておいで、ヒロさん!
私も土足で、おじゃまするからねー!
あ…やっぱり気遣いは有難く受け取っておきますw
手土産、手土産♪