ザッチの友達
ヒロは友達がいません。
いるにはいたのですが、喧嘩して連絡をとらなくなったり、自然に連絡をとらなくなったりで、今ではひとりもいなくなってしまいました。
そんなヒロから見るとザッチは友達が沢山います。
ザッチはその友達を何人もヒロに紹介してくれます。
ヒロの課題は、ザッチの友達と会う時、『如何に無難に振舞うか』です。
ザッチの友達はみんな良い人なので、ヒロが少しくらいおかしな事を言っても、上手に会話を続けてしまいます。ですから、ヒロ的に無難にできたと思っていても、ザッチ的に変な空気になっていたと思う時もあるそうです。
アスペルガーと指摘される前にも会っていたのですが、その全てで何かしらあったようです。
しかし、今は違います。
ヒロは自覚して、変な言動というのはどういう事かを考えている最中です。
今のヒロなら、気を抜かなければ半日くらい無難に過ごせると思いました。
先日ザッチと電車に乗っている時、ザッチが無料で入れるイベントの広告をたまたま発見して、そこに行きたいと言い出しました。
そこはザッチの友達の家の近くで、しかも数日前、友達の体調が悪くて会う約束していたのに立ち消えていた事もあり、思い切って、
「誘ってみたら?」
と言ってみました。
ヒロとしても日頃の努力の成果を見たいという思いがありました。
ザッチの友達と待ち合わせしてからイベントを見に行って、そのあと皆で食事をして帰りました。
ヒロとしては、『今回も』無難に過ごせたと思いました。
そして、なんとザッチからも『今回は』大丈夫だったと言ってもらえました。
とても嬉しくて、また会いたいなーと思うヒロなのでした。
今回分かった事は、ザッチというクッションがあった事は大きいですが、気を抜かなければ無難に話ができるのだと思いました。
もっと場数を踏んで、慣れる事ができれば、ヒロもいつか自分で友達を作る事ができるようになるのかもしれません。
でも、ずっと気を抜かずにいるのはしんどいなーとも思うのでした。
私は、ヒロさんにはこれから素敵な人とたくさん接して欲しいなと思っています。
ヒロさんは今まで人間関係で苦労していたようですが、本来とても優しい人なので、例え孤独で寂しい思いをすることがあっても、それはヒロさんのせいじゃないよ、ということを知って欲しいと思っているからです。
私の友人は、とても良い人ばかりです。
周囲と比較しても、私の友人関係は特に恵まれていると思います。
そんな友人ですので、しばしば荒ぶるヒロさんに対しても無難に接してくれます。若干、引いている時もありますが、それでもヒロさんの人格を否定するようなことは決して言いません。
最近はヒロさんの努力の甲斐もあって、私の友人も一緒に過ごす時間をとても楽しんでくれるようになりました。お互いに徐々に個性を出し合って、馬鹿やったり冗談を言い合ったり、ワイワイできるようになりました。
ヒロさんにずっと気配りしてもらうのは申し訳ないのですが、あともう少しで打ち解け合える気がします。お互いの個性を理解するようになれば、ある程度本音で言い合っても楽しい時間が過ごせるようになると思います。
もちろん一人で過ごす時間は大切ですが、自分を深く知る為にも、素敵な人とたくさん話すことは、ずっと続けたいなと思います。自分の個性を認識したり、目標にしたり、自己肯定感を高めたり、様々な良い効果があると思います。
ヒロさんにも、良い思い出をたくさん作ってもらって、今後に生かしてもらえたらと思います。