方言 【なおす】
皆さんは ” なおす ” という言葉をどのように認識しているでしょうか?
ヒロは、” 修理する ” や ” 訂正する ” のような意味と捉えていました。
ちなみに前情報を書き忘れましたが、ヒロは関東出身で、関西の会社に就職して来ました。その為、関西の方言についてはテレビで見る程度の知識量しかありませんでした。
関西に引っ越して間もない頃、上司が作成した書類を渡されて
「これ、なおしといて」
と言われました。
どこを?と思いましたが、聞く間も無く他の人に電話をかけながら忙しそうに去って行ってしまいました。仕方ないので、ヒロは思いつく限り文言や体裁を整えて赤ペンを入れました。
そして、上司が帰って来たところで、
「この書類直しました。」
と言って赤ペンで訂正した ” 上司が作成した ” 書類を渡しました。
上司は苦笑いを浮かべながら
「良い度胸してるなっ」
と言っていましたが、ヒロは何の事かさっぱり分かりませんでした。
※念の為言っておきますが今は分かりますよ!
結局上司に
「このままで良いから、ファイルに入れてくれ」
と言われてしまいました。
” なおす ” というのは方言で ” しまう ” とか ” 片づける ” という意味なんだそうです。
しかし、当時意味が分からないヒロは指示通り ” 直した ” と思っていたので特に不思議に思わず次の指示を受けたと思って指示通りファイルに入れるだけのヒロでした。
他の日に入社したての下っ端だった私は社用車のタイヤを冬用タイヤに替える為に雑用を頼まれました。そして案の定、” なおす ” 問題を再発してしまうのです。
頼まれた仕事内容は以下のようなものでした。
- 会社からちょっと離れた倉庫に冬用タイヤが置いてあるので、そこまで社用車で行って社用車に積む
- 業者まで行って社用車を冬用タイヤに替えてもらう
- それまで社用車に付いていたタイヤを ” なおして ” 帰ってくる
ヒロはタイヤを ” なおす ” 事ができないと判断して、
「無理です」
と言ってしまい、良く分からない会話を数分続けていました。
最終的に上司側がヒロの勘違いに気付いて
(new) 3. 社用車に付いていたタイヤを冬用タイヤが置いてあった場所に置いて帰ってくる
という指示をしてくれたので、しっかり任務を遂行できました。
ちなみにこれがヒロの勘違いと気付いたのは、1年以上経って ” なおす ” の本当の意味が理解できた時でした。それまでは『本当に直さないで倉庫に放置して良いのかな?』と思い後悔をしていたのです。
ちなみに自慢ですが、” なおす ” という方言はザッチも使うので、最近はヒロも理解できて使えるようになりました ((`・∀・´)えっへん!)
きっと、関東で使って親兄弟を混乱させる事でしょう(笑)
他にも、「ほっといて」が、「捨てといて」と「放置しといて」の両方の意味があるとか!!意味がほぼ真逆になるから、トラブルの元になると思います。
今回の例のように、会話の前後関係から意味や状況を推察することが苦手だと、” 方言による違い ” という可能性について、気付くのが遅くなるのかもしれないですね。
普段、” その時々の状況に応じた会話の流れ ” より、” 言葉としての絶対的な音声情報 ” により多く頼っているヒロさんには、なかなか方言の問題は重くのしかかってくるのだと思います。
方言だけではなく、反語とか婉曲表現とか、ややこしい事が沢山あります。
さらに言葉だけではなく、習慣などの違いも理解しなきゃと思ったら、相当大変です。
私はずっと関西にいるので、関西以外の友達ができるまでは、何が方言で何が方言でないのかも曖昧でした。” 他 ” を知らないと ” 自 ” がどういうものかも、分からないのです。
閉鎖的な空間に居ると、どうしても思考や行動が偏ってきがちです。それを防ぐため、普段から色んな人の考えを知ったり、環境を変えてみたり、外を知る事は大切だと思います。
今回の件でも、指示する側も「あぁ書類訂正しちゃったんだね、実は ” なおす ” は方言でね、、、」と相手の出身地によって言葉を使い分ける配慮をするとか、そのような事が求められるのではないでしょうか。
普段生活している環境が、引っ越しや転勤などで変わってしまう時に、人がストレスを感じてしまうのは仕方のない事だと思います。特性が強い人なら、なおさら辛いと思います。
受け入れる側としては、相手の立場に立ってきちんとケアできるような、思いやりのある行動が求められていると思います。