ザッチの奇怪な言動
ザッチは餃子が大好物です。
ある日ザッチに頼まれた訳でもなく適当に餃子を買って帰りました。
そして、帰って風呂に入りました。
風呂から出ると、ザッチが不思議な踊りを踊っていました。
何が起こったのかわからないヒロは『何してるの?』と聞きました。
「ギョーザ」
それがザッチの答えでした。
『何しているの?』の答えが『ギョーザ』では答えになっていません。
餃子という名前の踊りでもあるのなら別ですが、ヒロはそんな踊りを知りません。
それでしつこく何をしていたのかを聞く羽目になりました。
どうやらヒロが風呂に入っている間に餃子を見つけてテンションがあがり、喜びと感謝をヒロに伝える為に踊っていたようです。それならそうと、最初から言って欲しいものです。
たまに出るザッチの奇怪な言動に翻弄されるヒロなのでした。
外出が思うようにできない私は、いつも仕事帰りのヒロさんにお買い物をしてきてもらうよう、お願いしています。その日もスーパーで何か夕飯になるようなものをと思ってお願いしていました。
いつも私が食べたいものとか、作りたいものの材料を具体的に指定して買ってきてもらうので、私が頼んだもの以外のものを買ってきてもらうことは、基本的にありません。
しかし、たまに私の体調がすごく悪いときとか、気分が晴れない時など、ヒロさんが気を使って、私の好物を(私の指示なしでも)買ってきてくれる時があります。
その日もそういう日で、餃子が大好物の私は、スーパーの袋の中身を見て、すごくテンションが上がりました。餃子を食べられるということよりも、気を使って私のために何かを買ってきてくれたことがとても嬉しかったのです。
私はその恩返しに、ヒロさんに何ができるだろうと考えていました。
いつもヒロさんは、私の行動(謎な踊りとかリアクションとか)を気に入ってくれます。
なので、たまたまお風呂上がりのヒロさんと目が合った時、咄嗟に、
「ギョーザ♪」
と言って、満面の笑みで手をブンっと振り上げて、嬉しさを表現したのです。
言葉で言えよ、と言われると、返す言葉もありません。でも人への感謝を、言葉で逐一説明するのも、なんか違うな、照れくさいなと感じてしまう時があります。
行動としては幼稚ですが、そんな行動を恥ずかしげもなくできてしまうのは、ヒロさんの包容力のおかげです。
しかし、「ギョーザ♪」だけでは、残念ながらそういう思いは伝わらなかったようで、最終的に詳しく説明することになりました。変な踊りを踊った後に、シラフで自分の行動の理由を説明していると、とても恥ずかしい気持ちになりました。
感謝は、ちゃんと口に出して、伝えていきたいと思います。