アスペルガーと嘘
『アスペルガーは嘘をつかない』という話をたまに見かけるので、ヒロなりの解釈を紹介します。
◎注釈◎
ここではあえて『嘘』と表現していますが、『お世辞』『社交辞令』『冗談』『サプライズ』『相手を傷つけない嘘』など、コミュニケーションで必要になってくる事も含めて『嘘』と表現しています。
まず、アスペルガーが嘘を全くつかないかと云うと語弊があります。しかし、嘘をつく事が苦手である可能性はとても高いです。
理由として、嘘の性質とアスペルガーの性質が相性が悪いからだと思っています。
嘘をつくにはかなり多くの技術が必要になってきます。周囲の人は普通にできる事でも、アスペルガーの人には難しい事が多いのです。得意な事と不得意な事が極端であり、不得意な事を行うには不自然さが出やすくなります。嘘をついている時に不自然さが出てしまえば当然バレてしまいます。
その為、どうせバレるのであれば最初から嘘はつかないと決めた人が多く、『アスペルガーは嘘をつかない』という極論ともとれる考えが出てきたのではないでしょうか?
次に、アスペルガーの人が嘘をつくときに躓くところについて、ヒロなりに考察してみます。
まず、嘘をつく第一段階の状況判断ができないという事が挙げられます。
これは本当に一番大事で重要なところなのですが、(社交辞令などを含む)嘘をつかなければならない場面であるという状況判断が瞬時にできないのです。
はっきりしっかり本当の事を言った後、なぜか相手が怒っていたりみんなが沈黙していたりして、「あれ?」となるのです。
そして、この状況判断能力を経験や知識で補うことができると、その経験や知識で得たパターンが実際の出来事とぴったり一致する時があります。その場合のみ、第一段階をクリアできるのです。
例を挙げるときりがないのですが、一つだけ例を挙げます。
例えば、他人の物を壊してしまったとします
世間的には正直に名乗り出る事が正しい事とされています。
アスペルガーは正しい事をそのまますれば褒められると思っています。
※何も知らない子供の時は特に
しかし、正直に名乗り出ると実際は怒られるのです。
これを繰り返す事で、「正直に名乗り出る事=悪い事」と上書きされる可能性が高いのです。
運良く他人の物を頻繁に壊した経験が無かった人は、この上書きが行われないのだと思っています。
さらに、ここで上書きされるのは『他人の物を壊した時に名乗り出る』という事象のみで、例えば『つまみ食いした時に』など他の事に関連付ける事が難しいのです。
※個人差があると思いますが、ヒロはとても難しかったです。
さて脱線しましたが、第一段階をクリアすると、次は効果的な嘘を考える段階に入ります。
ここでも苦手な人には難しい問題が待ち構えています。
効果的な嘘とは、本当の事ではない内容で相手を納得させる事です。つまり、『物を壊した時』に普通なら別の原因を提示してその場を回避しようと考えるでしょう。
『強く風が吹いて落ちたから』『元々古かったから』など、何か別の原因を付け加えます。
しかし、アスペルガーは黙って何も言わないか、『自分は壊していない』と言うだけです。
つまり、『自分が壊した』と言うと怒られるというところまで学習できても、その次の思考が止まってしまい、瞬時に言葉にできないのです。
現にヒロはこの例を考えるのに数十分かかっています。書くのは得意ですが、瞬時に言葉にする事の難しさだと感じています。
例えば、この効果的な『嘘の理由』を覚えたとしたら、それを毎回使ってしまいます。自分が物を壊した時は必ず『風が吹いたから』と言ってしまうのです。それが例え窓のない室内であっても・・・
これが不自然さに繋がり、嘘がつけないのだと思います。
まだまだ、理由は書き足りない気がしていますが、一つの記事としてはこのくらいにしておきたいと思います。