記憶力もいろいろ
先日、ヒロさんと一緒に記憶力チェックをしました。
その結果が予想外に興味深かったので、記事にしたいと思います。
記憶力チェックと言っても、既成のきちんとしたテストではありません。
自己流で作って、それぞれ問題を出し合う形式の、ゆるーい感じのものです。
どんなテストだったかをご紹介する前に、まず『記憶力』に対する私の思いを少し綴らせてください。
私は、『記憶』することがあまり得意ではないと思っています。
学生時代は歴史などの暗記が苦手で苦労しましたし、人の名前を覚えるのも得意ではありません。
旧友と話していても、私がうろ覚えのエピソードを友人達はとても鮮明に覚えているようで、「〇〇は△△だったねぇ」などと、10年ほど前の事をつい先日の事のように話したりします。私はいつも、凄いなぁと感心するばかりです。
しかし、ヒロさんと出会って以降、私の記憶力も部分的には良い所があるのかも?と思えるようになりました。ヒロさんが「ザッチは記憶力が良いよ」と言ってくれるからです。
例えば、テレビのクイズ番組で、学校で習ったような知識が問われる時。歴史系の問題は元々苦手なので微妙ですが、昔きちんと覚えていたものに関しては、だいたいは答えられるような気がします。
学生時代のテストでは、暗記が苦手で歴史は壊滅的だったものの、よくよく思い出してみると、例え暗記要素が強い科目でも、興味のある教科(分野)は何故かすぐに覚えられることがありました。お気に入りの先生が発した些細な言葉まで記憶していたので、友人に気持ち悪がられた時もありました。
先日病院で受けた知能検査でも、心理士さんから言われた数字を復唱する問題(数唱)は得意なようでした。聴覚的な短期記憶をみるためのもののようです。
この結果がとても意外だったので、家でもう一度ヒロさんに手伝ってもらって試してみると、そのままの順番(順唱)でも、逆から(逆唱)でも、だいたい10桁くらいならいけそうでした。これは同年代の平均値より良い結果のようです。
一方で、ヒロさんに「なんで覚えてないの?」と言われることもあります。
一度プレイしたゲームのシステムや、喧嘩の時の会話、日常の些細な行動などなど…
おそらく、私の脳にも好き嫌いがあり、無意識のうちに情報の取捨選択がおこなわれているのでしょう。決して軽んじている訳ではない(と自分は思っている)内容でも、スポンと抜ける時があります。年齢を重ねる毎に、「あれ、なんやっけ?」と思うことが多くなってきているようにも感じます。
…と、前置きが長くなりましたが、このような私の『記憶力』をチェックするため行った自己流テストがこちらです。
◎ 次の15個の単語を覚えなさい。(目視だけで覚える(発声や筆記は不可)。覚える時間は任意(大体2〜3分以内)。「覚えた!」の宣言後、リストを見ずに答える。順番通りに答えなくてもOK。単語はヒロ出題)
- 足
- 金星
- 菊
- アコーディオン
- ハエ
- ほうとう
- ランプ
- 黒板
- ハモ
- わたあめ
- 壁
- スピーカー
- 湯気
- ヘチマ
- モンブラン
こんな感じの問題です。
(『ほうとう』の存在感がすごい!)
結果、15個全問正解でした。(やったぜ!)
特に不自由無く、1から順に答えられました。
そして約一ヶ月後、抜き打ちチェックがありました。リストは前回以来見ていません。
一ヶ月前の記憶を頼りに絞り出した結果、うろ覚えだった1番が『右足』、10番が『白いモシャモシャのやつ』という残念な間違いをしたのですが、それ以外は無事に答えられました。
しかし、この問題の質を少し変えた途端、私のパフォーマンスがガクッと下がりました。
その問題がこちら。(単語はヒロ出題)
- 内部
- 唐突
- 要約
- 独特
- 人情
- 本質
- 放置
- 発想
- 広義
- 奇抜
- 発見
- 同様
- 移行
- 定義
- 特有
上記のように、項目を抽象的な単語にしたのです。
その結果、なんとか14個捻り出したものの、順番はバラバラ。うろ覚えで回答にも時間がかかりました。
一ヶ月後のチェックでは、全く単語が出て来なくて、答えるのを諦めてしまいました。
抽象的な単語は、驚くほど頭に入って来ず、時間をかけても全然覚えられた感じがしませんでした。
私は耳で聴いたり紙に書いたりして覚える方が得意なので、目視だけで覚えるのも結構辛かったです。
そして、前回と同条件で比べたかったので、私は『番号通りに覚える』という方法も頑なにトレースしていました。それが非効率的な方法だったのかもしれません。しかし、仮に単語をカテゴリ分けするなどの工夫をしていたとしても、完璧に全部を覚えきるのは辛かったと思います。
一方のヒロさんは、さすが言語優位だなぁ…という結果でした。
私も上記と同様の、具体的・抽象的な単語をそれぞれ15個用意し、ヒロさんに覚えてもらったところ、その二つのテストでほとんど差が無かったのです。
私は、15個の単語を覚える時、脳内でイメージを作り、それらを繋ぎ合わせて覚えていました。
例えば、
『菊』柄のじゃばらの『アコーディオン』とか、
『黒板』に、白いチョークで『ハモ』と『わたあめ』が描いてある光景とか、
『湯気』で『ヘチマ』が蒸される様子とか。
(例外的に『モンブラン』だけは、問答無用で私の脳内に領域を確保してきました…笑)
しかし、抽象的な単語の場合、このイメージがなかなか作れなくて、結果、覚えきれないという事態になりました。
こんなにも違うものかと、自分でも驚きました。
この結果から考えると、おそらく、学生時代にあった暗記の得意不得意のムラは、『具体的なイメージが脳内に構築できるか否か』が重要な要素になっていたのかもしれません。
例えば、歴史で言うと、
教科書や資料集などに顔写真が載っている偉人は覚えやすいけど、名前だけ記載されている人物は覚えにくい…
詳しい経緯を理解できた出来事は覚えやすいけど、単に「〇〇年、△△事件」のような情報だけだとサッパリ…
という具合です。
苦手意識があるので、より深く知ろうという意識も芽生えにくく、負のスパイラルにはまってしまった気がします。
歴史が苦手な一方で、地理の成績は比較的マシでした。
それは、とても楽しく授業をしてくれた先生のおかげだと思います。
様々な事象に、興味深いエピソードを絡め、脳内に映像化しやすい言葉で説明してくれました。授業後は、一本のアニメを見終わったような感覚になる時もありました。
あくまで、これは私の『記憶に関する癖』を表したエピソードで、上述の『具体的なイメージが脳内に構築できるか否かが重要かも』という点も、人によって異なるのかもしれません。
ただ、人の『得意・不得意』は、様々な条件や要素によって決まることが多く、簡単に『個人の能力』という問題だけでは語ることが難しいのではないかな、と思うのです。
つまり、私は『記憶力があまり良くない』と自分では思っていたのですが、色んなエピソードを思い出してみると、案外そうでもなさそう?と思えたのです。
そしてその結果、よりポジティブな行動に移れることもある気がするのです。
苦手意識を克服することは簡単ではありませんし、無闇に自分の能力を過信することは危険です。
しかし、過度に自分を卑下して、可能性を潰してしまうのも、もったいない気がします。
これからも、自分の良い所探しを続けて、色んなことに挑戦したいなと思います。
人の記憶方法は千差万別だと思います。
ヒロが聞いたことのある記憶方法は、言語記憶、映像記憶、聴覚記憶の3つがありますが、人には感覚の数だけ記憶力があると思います。
そしてザッチは映像記憶が高く、ヒロは言語記憶が高いという結果がありました。
ヒロは感覚過敏なので、匂いや肌触りの記憶力がとても高いと思っています。
しかしその力は日常生活で活かすことはできず、逆に病気として処理されてしまうこともあるのだと思います。
前に『説明に色情報が多すぎて混乱する』という記事を書いたことがありますが、映像記憶に頼って生きているのであればそれも頷けます。
逆に映像記憶が壊滅的で、親の顔すら覚えられないヒロは、言語に頼ることしかできなかったのだと思います。
他人と違うということは、苦労する事が多く悩みのタネですが、それは個性だと思います。
みんなの個性がいつか花開く事を願っています。